秋葉原のメイドカフェに行った
友達のHAIZAI AUDIO、タナカ(tnhr)とメイドカフェに行った。
午前中神保町で古本屋をめぐり、よい古典の本を手に入れて、その話も書きたいのだが、それは置いておいて秋葉原のメイドカフェに行った話をしよう。
久々に家を出たことと、いい本を買えたことと、初春の陽気が重なってバカのテンションになっていた俺は、メイドカチューシャ(家にあった)を装備して廃材氏に会うほどの浮かれっぷりで、さすがにダダ滑りしたらどうしようと焦ったが二人とも相応に浮かれていたので良かった。
我々はいざメイドカフェの比叡山とも呼ばれるめいどりーみん秋葉原1号店に向かった。タナカ以外はメイドカフェ初めてなので王道を往くめいどりーみんに…という感じだ。
客引きのメイドの案内で上がると何かをはきちがえたファミレスのような、微妙に異様な空間があり、そこにメイドが3人ほどいた。
メイドさんに案内される。
「私が『お帰りなさいませご主人様』と言いますのでみなさんは『ただいま』と言ってください」などという笑点のような事務的手続きのあと実際にやってみる。
「お帰りなさいませご主人様」
「「「ただいま」」」
ぎこちなく返事するデカいオタク三人。*1しかしその瞬間コレは楽しいヤツだと理解させられてしまったね。
俺(左)とHAIZAI AUDIO(右),楽しそうである。
そのあとも飲み物におまじないと称して「ニャンニャン」とやらされたり、ほかの客の儀式をクラップヨァヘンズで盛り上げさせられたりと、参加型儀式(茶番とも言う)には事欠かず、大変楽しかった。メイドカフェに行くのはHAIZAIさんの発案だったのだがHAIZAIさんが一番照れていてかわいかった。
ここで店内の様子に触れておくと自分たち以外の客は3組くらいで、常駐するメイドも3人ほど。店内は広くないのでガラガラということはなかったが、客の大半は完全に場に呑まれている外国人観光客で、なおかつ店内はほの暗く、空間としては完全に“静”であった。一歩間違れば興が冷めそうだが、そんな空間でオムライスに向かって「おいしくな〜れニャンニャンっ」と振り付きでやることを強いられる、その精神的に圧倒的な“動”。この動と静のバランスを美と呼ぶのでしょう。
そんなこんなで宴もたけなわ……といったところで「これからライブがはじまります」と放送が。
いったいどんなものが……とワクワクする我々。店の端っこにあったお立ち台に照明が絞られ、ミラーボールは(ひかえめに)周りだし、なぜか配られたサイリウムが赤く輝く。
「いい時に来ましたね」
田中が言った。その頃ちょうど食事が来てしまってご飯を食べるタイミングを逸したことを差し引けば、まさに良い時に我々は入店したものだ、そう思った。
さてライブと思いきや、なぜかくじ引きをさせられ(伏線)、田中とHAIZAI氏は缶バッジを、俺は萌緑茶(ただの緑茶である)を当てた。
そしてようやくライブがはじまる!
鳴り出す校内放送のような音質の「恋するフォーチュンクッキー(原曲)」!!
お立ち台でキレの悪い踊りを踊るメイド!!!
そう!!!!ライブとは流したCDに合わせてメイドが手狭なお立ち台で細々と踊るのをサイリウム振って応援する、というイベントだったのだ!
「おお……なるほどね」
拍子抜け感はめちゃくちゃあるがこれはこれで面白いものである。ともがらをふりさけ見れば同じような感情であることが伺えた。
無いリズム感でサイリウムを振り続けた。僕が「恋するフォーチュンクッキー」をフルで聴いたのは初めてだったのではないだろうか。サイリウムを振り終えた私には一つの達成があった。
そしたらなんとまた別の曲が流れ出した!初めて聞く曲だったが聞き覚えなら無限にありそうなオタク曲*2。
「とほほ〜、一曲で終わりじゃなかったのか〜!」
しょうもなくオチてるのに曲は終わらない。こういうとき辛いのは自分のダレより他者のダレ。アジア系の観光客のお兄さんは完全に興味を失ってスマホをいじっている。俺は空間に対する客観的認識を持たないためにサイリウムを振ることに意識を集中させのりきった。
そして迎えた「ラストはみんな知ってるハレ晴れユカイ〜」とのおことば。
良かった、ついに終わる。それにハレ晴れユカイ(オタクはハルヒが好き)。
だがそもそも「ハレ晴れユカイ」とはキモオタが歩行者天国で踊れるほどの簡単ダンスで、みんなで踊ることに意味があるものです。つまり、メイドが一人でハレ晴れユカイを踊っている光景とは死ぬほど退屈な光景にほかならなかった。僕にはメイドさんを性的な目で見ることもできないしね。
耐えかねて「貴重な経験だわさねえ」などと達観ぶって言ってしまったが言わなかった方が悟りに近づけたかもしれない。
話は前後するが頼んだオムライスに絵を描いてもらった。メイドカフェといったらこれだよね。
僕は河童が好きなので河童を描いてもらうことにした。
「カッパ?!」と驚かれたので河童愛好家である俺は「日本の妖怪で皿があるものです知らないのですか」と早口でマンスプレイニングした。結果、大変かわいいカッパの絵を描いてもらった。嬉しい。僕が今朝描いたカッパも見て。https://www.pixiv.net/artworks/80193908
味はみなさんのご想像通りです。
我々が頼んだセットにはチェキが含まれており、チェキの撮影とあいなった。
地下アイドル百戦錬磨のタナカが「あろま」という源氏名のメイドとプリパラのアロマゲドンのポーズをするという百点満点の解答を見せた。俺も頑張ってポーズを思案した結果、さらざんまいのポーズをしてもらうことにした。河童が好きなので……(無理筋)
そしてこれ。
メイドに取り憑いた亡霊のように写っているのが僕です。
まあそういうわけでたいへん楽しかったなあ……と伝票を渡されて気づく。サイリウム代660円とくじ引き代660円が足されている!合計で4500円くらいになってしまった…まあいい経験だったと思おう。
そのあとは胃もたれを治しに雑草を食う狸のごとく秋葉原を徘徊した。
そんな繁華街の喧騒の中で、君に出逢った——。
彼女はまんだらけの100円コーナーにいた。本当はHAIZAIさんが買うはずだったんだけど「(出来の悪さは良いが)顔が不快すぎるので買えない」と言われたので俺が買った。2020年はルッキズムによる差別を許さないのでよろしく。
もう一柱綾波レイのらうたげなフィギュア買ったんだけどなんかベタベタしてて取り出したくないから上げなくていいか。
まあ総括するとたのしかったですよ。メイドカフェはめちゃくちゃ面白い体験だったし、秋葉原はいつも通り楽しいスポットだった。ヌルい風俗みたいなんだったらどうしようとか思ってたけど。クッソヌルいテーマパークでしたよ。良いね。
二度目はなさそう、ってこともなく、メイドリーミンはもういいけどコンセプトカフェなる地下アイドルとの中間みたいなところには行ってみたいと思えた。